カスタマージャーニーは、顧客が認知から購入、そして利用・推奨に至るまでの行動と感情を一枚で整理する設計図です。図にすることで、部署ごとに散らばりがちな施策がひとつの流れにつながり、全体戦略と日々の施策の矛盾を早い段階で見つけられます。
本記事では、カスタマージャーニーの定義を短く確認したうえで、現場でそのまま使える作り方、表のテンプレート、B2C/B2Bの具体例、KPIの置き方や更新ルールまでを順に解説します。初めてでも迷わない手順に落としているので、読み終えたらすぐに作成へ進めるでしょう。
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、「顧客の行動・思考・感情」と「会社のタッチポイント・施策・KPI」を時系列に対応づけるための図です。顧客がどこで迷い、何を手掛かりに前へ進むのかを可視化できるため、改善の優先順位が自然に決まります。
カスタマージャーニーを作成する際は、以下の要素を同じ粒度で並べることが重要です
- ペルソナ:対象となる顧客像
- フェーズ:認知から購入・利用までの段階
- タッチポイント:顧客と企業の接点
- 阻害要因:顧客が次のステップに進むことを妨げる要素
- 解消施策:阻害要因を解決するための具体的な対策
- KPI:各フェーズの成果を測定する指標
四角を線で結ぶ単純な図に見えても、根拠となるデータと顧客の声が入ると意思決定の精度が劇的に向上します。
カスタマージャーニーの目的とメリット
カスタマージャーニー作成の目的は大きく分けて2つあります。
- 全体戦略と現場の施策に矛盾が生じないように整えること
- 顧客がつまずく地点を特定し、手を打つ順番をはっきりさせること
カスタマージャーニーのメリット
たとえば、広告が「最短で使える」と訴えているのに、初回設定で30分以上を要するなら、言葉と体験がずれて離脱を招きます。
ジャーニーを作ると、どの面に何を補うかが一目で分かり、以下のような改善が可能になります。
- メッセージの統一とコンテンツの差し替えが迅速に進む
- CVRや継続率のような指標が安定する
- 会議が”状況説明”から”解決策の選択”へと重心が移る
- チーム全体で同じ顧客視点を共有できる
カスタマージャーニーの構成要素
カスタマージャーニー作成時は要素を固定しておくと迷いにくくなります。
以下の要素を順番に設定していきましょう。
1. ペルソナの設定
- 一人に絞って設定する
- 意思決定者と利用者が異なる場合は両者の視点を分ける
2. フェーズの定義
- 認知 → 検討 → 比較 → 購入 → 利用 → 継続・推奨の流れを基本形とする
- 各段における顧客の行動・思考・感情を短文で記録
3. タッチポイントの整理
- オンラインとオフラインの接点を並べる
- 顧客がサービスと触れる全ての場面を洗い出す
4. 阻害要因と施策の対応
- 各タッチポイントで生じる問題点を特定
- 解消のための施策案と対にして配置
5. KPI設定
- フェーズごとに追うKPIをひとつ決める
- データ源と更新頻度も明記しておく
このような要素を整理することで、運用が回りやすくなり、継続的な改善が可能になります。
他のフレームワークとの関係
AIDA、AIDMA、AISASなどの反応モデルは、顧客の心理変化を示す骨格の役割を果たします。
カスタマージャーニーはそれを実務に引き寄せ、具体的なタッチポイントやコンテンツへ当て込む実践的なツールです。
AS-ISとTO-BEの活用
現状の姿(AS-IS)と理想の姿(TO-BE)を分けて描くことで、以下のメリットが得られます。
- 差分が明確に浮かび上がる
- 改善ロードマップが作りやすくなる
- 議論が抽象論に流れにくくなる
推奨する順番は、先にAS-ISを事実で固め、後からTO-BEで理想の流れと必要施策を置くことです。
マーケティング施策を考えるうえで欠かせないのが「購買心理の理解」です。 その基礎となるフレームワークが「AIDMA(アイドマ)の法則」です。消費者が商品を認知してから購入に至るまでの心理プロセスを体系化したもので、広告戦略や販売促進、Web[…]
カスタマージャーニーの作り方(5ステップ)
ステップ1:目的と対象の明確化
最初に以下の3要素を一文で定義します。
- 目的:何を達成したいのか
- 評価指標:成果をどう測るか
- 対象ペルソナ:誰をターゲットにするか
例:「Q3に30代女性の新規購入数を20%増やす。評価はCVRと獲得単価」
この定義により、チーム全体で同じ方向を向いて作業を進めることができます。
ステップ2:データと顧客の声の収集
次に、定量データと定性データを集めます。
定量データの収集先
- GA4(Google Analytics 4)
- MA(マーケティングオートメーション)
- CRM(顧客関係管理システム)
- 売上データや行動ログ
定性データの収集先
- 顧客インタビュー
- カスタマーサポートログ
- アンケート結果
- レビューやフィードバック
これらのデータを組み合わせることで、顧客の真の行動と感情を把握できます。
ステップ3:フェーズ×タッチポイント表の作成
収集したデータを基に、フェーズ×タッチポイントの表に以下を書き込みます。
- 顧客の行動
- 顧客の思考・感情
- 阻害要因
- 解消施策
各セルは簡潔に、事実に基づいた内容で記載することが重要です。
ステップ4:KPI設定と施策の優先順位付け
各セルで見つかった阻害要因と解消施策を対にし、フェーズごとにKPIをひとつ設定します。
【KPI設定時のポイント】
- 測定可能で具体的な指標を選ぶ
- データ取得の頻度と方法を明確にする
- 改善目標値を設定する
ステップ5:ロードマップ化と実行計画
AS-ISとTO-BEを並べ、差分を時系列のロードマップに変換します。
この段階で以下が自然に決まります。
- 各施策の担当者
- 実施期限
- 必要なリソース
- 成果測定のタイミング
カスタマージャーニーテンプレート
基本テンプレートの使い方
以下のテンプレートをコピーして使用してください。
セルは短文で、名詞と数値を優先して記入することがポイントです。
フェーズ | タッチポイント | 行動 | 思考・感情 | 阻害要因 | 解消施策 | KPI |
---|---|---|---|---|---|---|
認知 | 広告/SNS | 広告を閲覧 | 興味はあるが不安 | 価格が分からない | 価格帯の早期提示、FAQ導線 | CTR |
検討 | 記事/LP | 比較情報を探す | 信頼できる根拠が欲しい | 事例不足 | 事例・数字の追加、第三者評価 | 滞在時間 |
比較 | レビュー/資料 | レビュー・資料を読む | 自分に合うか不明 | 自己判断が難しい | 診断ツール、チャット相談 | CVR(CV前) |
購入 | カート/申込 | 情報入力 | 手間が負担 | 入力項目が多い | フォーム最適化、保存機能 | CVR(購入) |
利用 | アプリ/サポート | 初期設定 | 使いこなせるか不安 | 手順が複雑 | 3分ガイド、オンボ動画 | 活性率 |
継続・推奨 | メール/コミュニティ | 継続利用 | 成果を実感したい | 成果が見えにくい | 成果レポート、紹介特典 | 継続率/紹介率 |
テンプレート活用のコツ
このテンプレートを効果的に活用するために、
以下の点に注意してください。
- 各セルの内容は具体的で測定可能なものにする
- 業界や商材に応じてフェーズ名をカスタマイズする
- 定期的に内容を見直し、最新の顧客データで更新する
カスタマージャーニーの具体例
B2C事例:コスメECサイト
「肌へのやさしさ」を重視する30代女性を想定したコスメECのカスタマージャーニー例です。
認知フェーズ | 肌刺激への不安が先立つため、価格よりも安全性の根拠を前面に配置します。広告クリエイティブでは「無添加」「皮膚科医推奨」といったキーワードを優先的に使用し、安心感を醸成します。 |
検討フェーズ | 第三者の評価や成分の詳細説明が購入の鍵になります。美容ライターの推奨記事や、成分ごとの効果説明を充実させ、科学的根拠に基づいた情報提供を行います。 |
比較フェーズ | 「自分に合うかどうか」の判断に迷うため、肌質診断ツールやチャット相談機能が背中を押す役割を果たします。パーソナライズされた商品推奨により、選択の不安を軽減します。 |
購入フェーズ | フォーム離脱が起きやすい段階のため、入力の自動補完機能や途中保存機能が効果的です。また、配送オプションの明確な表示により、最後の一歩を後押しします。 |
利用フェーズ | 3分間のオンボーディング動画で正しい使用方法を伝え、効果実感までの期間や使用感の変化について事前に説明することで、継続利用を促進します。 |
継続・推奨フェーズ | 肌状態の改善を数値化したレポート機能や、友人紹介特典システムが口コミ拡散を生み出します。 |
B2B事例:SaaS企業
従業員50〜300名で専任の情シスがいない企業を想定したSaaS企業のカスタマージャーニー例です。
認知から検討フェーズ | 「導入負担への懸念」が一貫した障壁となります。広告や資料では機能訴求よりも「導入は最短30分、運用はチャットで即時支援」という導入・運用の簡単さを軸にメッセージを統一します。 |
比較フェーズ | 既存ツールとの連携可否やセキュリティ要件が検討の焦点となります。API連携の対応範囲や、SOC2/ISO27001などの監査対応情報を早い段階で提示し、技術的な不安を解消します。 |
購入フェーズ |
複数部署を巻き込んだ決裁フローが長引く傾向にあるため、以下の資料を準備します。
|
導入フェーズ | オンボーディングのチェックリストと週次の伴走支援により、確実な定着を図ります。専任のカスタマーサクセス担当者が初期設定から活用方法まで一貫してサポートすることで、早期の成果実感を促します。 |
継続・推奨フェーズ | 月次の活用レポートとベンチマーク情報の提供により、継続的な価値を実感してもらいます。ユーザーコミュニティやカンファレンス招待により、他社事例の共有と推奨行動を促進します。 |
チャネル設計と施策の当て込み
統一されたメッセージ戦略
カスタマージャーニーを基に、チャネルとコンテンツの位置づけを統一します。各フェーズでの具体的な施策例:
認知から比較フェーズ
- 核となる一言メッセージを統一
- 媒体ごとに表現の濃度を調整
- チャネル横断でのメッセージ一貫性を保持
購入・導入フェーズ
- 入力や設定のつまずきを減らす設計に注力
- ユーザビリティテストによる継続的改善
- エラー発生時のサポート体制強化
利用・継続フェーズ
- 成果を実感できる仕掛けを中心に設計
- 定期的なレポート配信
- コミュニティ運営による横のつながり創出
効率的な施策管理
カスタマージャーニーに紐づいた施策管理により、以下のメリットが得られます。
- 施策がバラバラに増えることを防ぐ
- 更新時に不要な要素を素早く削除可能
- ROIの測定と改善が容易になる
計測と改善の仕組み
KPI設定の原則
フェーズごとにKPIをひとつに絞ることで、効果の確認が簡潔になります。
KPI設定時の重要なポイント。
測定可能性の確保
- 定量的に測定できる指標を選択
- データ取得の方法と頻度を明確化
- 目標値と改善幅を設定
原因特定のための仕組み
- ログデータだけでは意図が読み取りづらいため、以下を組み合わせる:
- 顧客アンケート
- ユーザビリティテスト
- インタビューや観察調査
継続的改善のサイクル確立
更新ルールの設定
- 四半期に一度の定期見直し
- 結果を必ずジャーニー図へ反映
- チーム全体での学習共有
成功のための重要ポイント
- データに基づいた客観的な分析
- 小さく早い改善サイクルの維持
- 関係部署を巻き込んだ協力体制
このような運用を継続することで、施策はバラバラではなくつながりを持ち、顧客体験は着実に向上していきます。カスタマージャーニーは一度作って終わりではなく、顧客との関係を深化させ続けるための生きたツールとして活用していきましょう。
今すぐ始められるアクション
カスタマージャーニー作成を始めるために、以下のアクションから着手してください。
今週中に実施すべきこと
- 対象ペルソナと改善目標を一文で定義する
- 既存の顧客データ(GA4、CRM等)を整理する
- 関係部署の担当者とキックオフミーティングを設定する
今月中に完了すべきこと
- テンプレートを使用してAS-IS版のジャーニーを作成
- 主要な阻害要因とその解消施策を特定
- フェーズごとのKPIを設定し、測定方法を確立
今四半期で達成すべきこと
- TO-BE版ジャーニーの完成と改善ロードマップの策定
- 優先度の高い施策から実行開始
- 初回の効果測定と次期改善計画の立案
カスタマージャーニーは顧客理解を深め、ビジネス成果を向上させる実践的なツールです。完璧を求めず、まずは始めることから顧客体験の改善への第一歩を踏み出しましょう。
改善のサイクル
更新タイミング
- 基本は四半期ごとの見直し
- 機能の大型リリースや価格改定時の臨時見直し
- 市場環境の大きな変化時の緊急対応
改善アプローチ
- 小さく早く回す改善サイクル
- 検証結果を必ずジャーニー図へ反映
- チーム全体での学習と共有の仕組み作り
このような運用により、チームの学習速度が向上し、顧客体験の継続的な改善が実現できます。
オンラインとオフラインの統合
全チャネル体験の設計
店舗やイベント、営業面談といったオフライン接点を、Webの体験と切り離さずに一つの流れとして設計することが重要です。
データ連携の重要性
- 来店時のヒアリング内容をSFAに記録
- 名刺交換情報をCRMに即座に連携
- オンライン行動履歴とオフライン接点の紐付け
シームレスな体験の創出 オンラインとオフラインの行き来がデータとして可視化されることで、以下が実現します:
- 部門間の連携速度向上
- 体験の継ぎ目が目立たなくなる
- 顧客に合わせたパーソナライズされた対応
具体的な統合施策例
小売業での統合例
- 店舗での商品体験後、オンラインでの購入フォロー
- ECサイトでの閲覧履歴を店舗スタッフが確認
- 在庫状況のリアルタイム連携
BtoB営業での統合例
- ウェビナー参加後の営業フォローアップ
- オンライン資料ダウンロード履歴を商談で活用
- 提案書送付後のオンライン行動追跡
カスタマージャーニー作成に役立つツール
作成・編集ツール
ホワイトボード型ツール カスタマージャーニー作成には、以下のツールが相性良く、関係者が同時に編集作業を行えます。
- Miro:豊富なテンプレートと直感的な操作性
- FigJam:デザイナーとの連携がしやすい
- Microsoft Whiteboard:Office365との連携が強力
- Lucidchart:フローチャート機能が充実
計測・分析ツール
基盤となる分析ツール
- GA4(Google Analytics 4):Webサイトの行動分析
- Search Console:検索流入の分析
- MA(マーケティングオートメーション):リード育成の可視化
- CRM:顧客情報の一元管理
詳細分析ツール
- ヒートマップツール:ユーザーの操作行動を可視化
- セッションリプレイ:実際の操作画面を録画・分析
- A/Bテストツール:施策の効果を定量的に検証
ツール選定のポイント
ツール選定時は機能の多さよりも、以下の要素を重視することが運用の長続きにつながります:
- 編集のしやすさ:直感的で迅速な更新が可能
- 履歴管理機能:変更履歴の追跡と復元機能
- 共有・権限管理:チームでの安全な情報共有
- 他ツールとの連携性:既存システムとの連携のしやすさ
よくある失敗と回避策
典型的な失敗パターン
1. 理想論に偏った設計 理想だけを並べて現状分析が抜けると、実装段階で現実とのギャップに直面し、プロジェクトが頓挫しがちです。
回避策:
- AS-IS(現状)を事実に基づいて詳細に分析
- TO-BE(理想)は現状からの差分のみを記載
- 実現可能性を考慮した段階的な改善計画の策定
2. 主観的な判断に依存 チームメンバーの主観的な意見の寄せ集めになってしまい、データに基づかない推測で施策を決定してしまうケースです。
回避策:
- 名詞と数値による具体的な記載
- 情報の出典と更新日を必ず明記
- 定期的な顧客データによる検証と更新
3. 作成で終了してしまう カスタマージャーニーを作った時点で満足してしまい、継続的な改善につながらないケースが多く見られます。
回避策:
- ロードマップ、担当者、期限、指標を同じ資料に記載
- 定期的な見直しスケジュールの設定
- 改善結果をジャーニー図に反映する運用ルールの策定
成功のための実践的なアドバイス
データドリブンなアプローチ
- 定量データと定性データをバランスよく活用
- 仮説と検証のサイクルを継続的に回す
- 小さな改善を積み重ねる文化の醸成
チーム全体での共有
- 関係部署を巻き込んだ作成プロセス
- 定期的なレビューミーティングの実施
- 成果の共有と学習の促進
カスタマージャーニー作成前のチェックリスト
事前準備の確認項目
カスタマージャーニー作成に着手する前に、以下の項目を確認しましょう。
□ 目的・指標・ペルソナが一文で定義されているか
- 何を達成したいのか明確になっている
- 成果測定の方法が決まっている
- 対象顧客が具体的に絞り込まれている
□ 必要なデータが収集できる環境が整っているか
- GA4などの分析ツールが導入されている
- 顧客の声を収集する仕組みがある
- データの更新頻度と責任者が決まっている
□ 関係者の協力体制が構築されているか
- マーケティング、営業、カスタマーサポートが参加
- 定期的なミーティングスケジュールが確保されている
- 各部署のデータ共有に合意が得られている
完成度の確認項目
作成したカスタマージャーニーが機能するために、公開前に以下を確認しましょう。
□ AS-ISとTO-BEが分かれ、差分からロードマップが作られているか
- 現状分析が事実に基づいている
- 理想の姿が実現可能なレベルで設定されている
- 改善の優先順位が明確になっている
□ フェーズごとにKPIが設定され、運用方法が決まっているか
- 測定可能で意味のある指標が選ばれている
- データの取得方法と更新頻度が明記されている
- 改善活動の担当者と期限が設定されている
これらの項目をクリアすることで、カスタマージャーニーは”飾り”ではなく”実用的な進行表”として機能し始めます。
他のマーケティングフレームワークとの違い
戦略フレームワークとの使い分け
SWOT分析・3C分析
- 強み:事実の棚卸しに優れている
- 用途:市場分析や競合分析
- カスタマージャーニーとの関係:分析結果をジャーニー作成の基礎データとして活用
STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
- 強み:狙いの絞り込みに特化
- 用途:マーケット戦略の方向性決定
- カスタマージャーニーとの関係:ペルソナ設定とメッセージ設計の指針として活用
4P分析(Product・Price・Place・Promotion)
- 強み:具体的な施策設計に向いている
- 用途:マーケティングミックスの最適化
- カスタマージャーニーとの関係:各フェーズでの施策詳細化に活用
補完的フレームワークとの組み合わせ
サービスブループリント 顧客の体験だけでなく、提供側のバックオフィス業務や内部プロセスも同時に可視化できるフレームワークです。カスタマージャーニーと組み合わせることで:
- フロントエンドとバックエンドの連携が明確になる
- オペレーショナルな改善点が特定しやすくなる
- 組織全体での顧客体験向上が可能になる
JTBD(Jobs To Be Done) 顧客が「雇いたい仕事」という観点から製品・サービスを捉えるフレームワークです。カスタマージャーニーと組み合わせると:
- より深い顧客インサイトが得られる
- 競合の定義が広がり、新たな脅威や機会を発見
- 顧客の本質的なニーズに基づいた体験設計が可能
統合的な活用方法
これらのフレームワークを効果的に組み合わせるための推奨フロー
- 戦略レベル:3C・SWOT・STPで方向性を決定
- 設計レベル:カスタマージャーニーで体験を設計
- 実装レベル:4P・サービスブループリントで具体化
- 検証レベル:JTBDで本質的価値を確認
この統合的なアプローチにより、図の解像度が上がり、より実効性の高いカスタマージャーニーが作成できます。
まとめ
カスタマージャーニーの最大の利点は、議論を”顧客の道筋”に統一し、改善の優先順位を明確にする点にあります。部署ごとの個別最適ではなく、顧客視点での全体最適を実現できる強力なツールです。